情報の表現
情報の表現は目的や状況に応じて使い分ける必要がある。 以下にその時に検討すべき側面をあげる。
- 手続的表現: 時間をおった行動の記述による表現
- 宣言的表現: 対象や対象の属性の関係による表現
- 記号表現: 記号(表したいものと恣意的な対応関係にあるもの)とその解釈の規則体系による表現
- パターン表現: 要素それ自体には意味がないが、全体が時間的空間的に対象と一定の対応関係にあることによる表現
- ディジタル表現: 離散量による表現
- アナログ表現: 連続量による表現
情報の表現とモデル
- モデル: 単純化/抽象化された事物/事象/概念
- モデル化: 実際の事物/事象のモデルを作ること
練習1: 以下の"モデル"では、対象の何が取り出され、何が捨てられているか?
- プラモデル
- ファッションモデル
- モデル住宅
- モデル事業
モデルの表現形式の例
- 表
- 図
- 建築(CiNii PDFで見られる)
- ベン図、オイラー図(集合を表す図)
- グラフ: 「何か」と何かの「接続関係」を抽象化したもの。 折れ線グラフのようなグラフとは(一応)違うもの。
- ノード: 「何か」を表すもの
- エッジ: 「接続関係」を表すもの
情報の表現
情報の表現では以下を考慮する必要がある。
- 表現の対象: 何が表現されているのか/何を表現するのか。物理的なもの/抽象的なアイデア/記憶、思考の方法/その結果など。
- 表現の目的: 何のために表現されているのか/何のために表現するのか。他者への伝達や依頼、アイデアの整理、問題解決など。
- 表現の方法: どう表現されているのか/どう表現するのか。情報表現を考える時には複数の情報表現間のトレードオフを考える必要がある。 (トレードオフ: ある側面を優先すると他の側面で問題が生じるという関係にあること)
記号と表現
ピクトグラム
- ピクトグラム: 何らかの意味を伝達するための抽象化された図形。図記号
サービスエリアのピクトグラム
- 表現の対象: サービスエリア
- 表現の目的: サービスエリアの所在を知らせる(瞬時に知らせる必要がある)
- 表現の方法: ピクトグラム
記号の2つの側面
- シニフィアン: 意味するもの(例)
- シニフィエ: 意味されるもの(サービスエリア(の概念))
- 記号の恣意性: 記号と意味の結びつきに必然性がないこと
- 標準化: 記号と意味の結びつきを統一すること
- 結びつきの種類: 隠喩、提喩、換喩など
ピクトグラムの様々
練習2: ピクトグラムで表したいことを以下から一つ選び、ピクトグラムを作成する。
- 電車が駅に着いたら、ドア付近の方は乗り降りされる方のために、一時ホームに降りてください。
- 浴衣で廊下を歩かないでください。
- ごはんのおかわり2杯まで
- (公園で)リードにつないだ犬のみ散歩可
- エスカレータでは右側をお空けください。
- 部屋のドアはオートロックになっていますので、部屋を出る際は必ず鍵をお持ちください。
- (情報教育棟に)濡れ傘を持ち込んではいけません。
- 荷物を置いたりして席取りするのはやめましょう。
- 私語は慎みましょう。
- これはピクトルグラムでは表現できません。
ピクトグラムはPowerPointを使った作成方法を参考にして作成する。 (gimpや Tgifを使って作成し、PowerPointのスライドに貼付けてもよい。)
練習3: 実際のピクトグラムで分かりにくいものを見つけ、それがどのようなピクトグラムなのか、なぜ分かりにくいのかを考察せよ。
- インターネットで「pictogram」を検索すると。実際に使われていたり、使う事が提案されているピクトグラムが見つかる。
- 「どのようなピクトグラムであるか」では、対象/目的/表現を、そのピクトグラムの説明などの情報から想像せよ。
- 分かりにくさについては、主に、そのピクトグラムの目的とここで理解する事の違いについて考察せよ。
結果はPowerPointのスライドにまとめよ。
yamaguch@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp
Copyright 2009 Kazunori Yamaguchi 山口和紀@東京大学総合文化研究科