春季特別セミナーのお知らせ

 春休み期間中を利用して、 以下の予定で特別セミナーを行なってみようと思います。

 より具体的な内容としては,

などの話題を取り上げようと思っています。 ただし、実際に、どの日にどの話題を取り上げるのかという詳しい予定については、 もう少し準備が進んでから、改めて、 こちらのホームページ上でアナウンスしようと思います。

 線型代数学の主たる目標は「行列の性質をより良く理解する」ということですが、 行列を「最初に与えられた姿」だけで眺めていたのでは、 必ずしもその行列の性質が分かりやすいものであるとは限りません。 そこで,「行列」を「線型写像」という概念を通して 「座標軸に依らない形」で見直してみるということが試みられました。 これにより,「行列」とは「座標軸を取り替えるとコロコロ姿を変えるものである」 と理解することができるので、 「最初に与えられた姿」だけにこだわらずに、 座標軸を取り替えて、与えられた行列が「見やすい形」で表現されるような視点から眺めることで, その行列の性質がより良く理解できるようになるのではないかということが、 線型代数学の基本的な考え方となりました。 特に,「見やすい形」として「対角行列」が取れる場合には、 固有値や固有ベクトルという概念を用いることで, 「行列の対角化の問題」を解決できるということは、 これまで、皆さんが線型代数学の中で学ばれてきたとおりです。

 ところが、一般には,「見やすい形」として「対角行列」を取れるとは限らないので、 「行列の標準形の問題」を一般的に解決するためには、 「見やすい形」を「対角行列」より少しだけ一般化した形で考える必要がでてきます。 そのような一般化された「見やすい形」が「Jordan標準形」というもので、 勝手な正方行列は(複素数の範囲で)常に「Jordan標準形」に変形できることが分かります。 こうした「Jordan標準形」に関する基本事項については、 二年生のカリキュラムの中で扱われることになっていますが、 皆さんの中からも希望がありましたので、 講義を先取りして、特別セミナーという形で、 「Jordan標準形」に関してある程度まとまった説明を試みてみることにしました。

 なお、今回の特別セミナーは、 二年生の夏学期に行なわれる講義に先立って、 特別セミナーで「Jordan標準形」を取り上げることで、 講義とは関係なしに、 自分のペースで勉強してみるという体験をしていただく きっかけになればよいということを考えてのことですので、 取り上げる内容に興味があり、時間に都合のつく方は、是非参加してみて下さい。

 また、今回のセミナーで説明しようと思っている内容は、 基本的には「数学II演習の略解」の中ですべて説明されていますので、 内容に興味があるものの時間に都合のつかない方は, 「数学II演習の略解」の方を読んでいただいて、 疑問点などあれば、個人的に質問していただくということで構わないと思います。

 それから、今回の特別セミナーは、 私が担当している数学IB演習、数学II演習、あるいは、 全学ゼミナールとは独立したものとして行なう予定ですので、 演習や全学ゼミナールを受講されていなかった方でも、 興味を持たれた方は、どなたでも参加して頂いて構いません。 また、お近くに興味を持たれる方がいらっしゃる場合には、 どなたをお誘いいただいても構いません。


 ※ こちらの地図右下の紫色の建物が数理科学研究科棟です。 この地図では、「横の入り口」は、建物の左側面の上の方にあることになります。