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released on 12th May 2008, by H.FURUIDO
revised on 17th June 2012

12夏駒場総合科目一般講義「森林環境と人間活動」〜【林野利用から林政へ】(担当:古井戸):文献一覧

  1. 文献案内(レポート向き)
    ※略称 「全林協」:全国林業改良普及協会、「調査会」:日本林業調査会 (◎:とくにおすすめ、かつ入手しやすいもの)
    • 専門書以外で、ためになる読み物
      1. ◎内村 鑑三(1930)『デンマルク国の話』(聖書研究社、現・岩波文庫) *デンマークの原野造林に言及した講演録。
      2. ◎大滝 重直(1974)『ニシン山に登る』国書刊行会 *海と森林のつながりの歴史を教えてくれる紀行的エッセイ。名文。
      3. ○岡崎 照雄訳(1981)『パパラギ−はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集−』立風書房 *言わずと知れたロングセラー
      4. ○深田 祐介(1984)『炎熱商人(上)(下)』文春文庫 *1970年前後の東南アジア木材輸入商社の活動を、丹念な取材をもとに生き生きと描いた小説。
      5. ◎畠山 重篤(1999)『リアスの海辺から−森は海の恋人−』文春文庫 *漁民の植林運動の火付け役となった宮城県の養殖漁業家の著作。名文。
    • 森林・林業・林産業・山村問題についての基礎知識
      1. 一般
        1. ◎只木 良也(1986)『NHK市民大学 森と人間の文化史』日本放送出版協会 *12回に分けて放映された際のテキスト。講義では放映された映像をかなり用いた。これの増補版が、只木 良也(2004)『森の文化史』講談社学術文庫、263pp.となって出ており入手しやすい。後者は駒場図書館にも所蔵されている模様。
        2. ○宇江 敏勝(1994)『森のめぐみ−熊野の四季を生きる−』岩波新書
        3. ◎重栖 隆(1997)『木の国熊野からの発信−「森林交付税構想」の波紋』中公新書 *山村で何が起き、山村の自治体首長たちが何を訴え運動したか。山の暮らしから財政問題までみてとれる好著。
        4. ○山縣 睦子(1998)『木を育て森に生きる』草思社 *夫の突然の死で、山縣有朋が創設した那須の400haの森を引き継ぐことになった著者は果たして?
        5. ◎山本 信次編(2003)『森林ボランティア論』調査会 *ボランティアによる森林整備の現場に通暁した編著者による力作
        6. ○天野 礼子(2006)『“林業再生”最後の挑戦「新生産システム」で未来を拓く』農山漁村文化協会 *後出『市民事業』に引き続くルポルタージュ
        7. ○石城 謙吉(2008)『森林と人間−ある都市近郊林の物語−』岩波新書 *北大苫小牧演習林からみた林学の歴史と実践。『森はよみがえる』講談社現代新書1220と併せて読むと、取組が時系列で追える。
      2. 歴史
        1. ◎M.ドヴェーズ、猪俣訳(1973)『森林の歴史』クセジュ文庫 *世界の林野利用・林学・林政の歴史をフランスの歴史学者がコンパクトにまとめたもの。類訳書が無かった時代にもかかわらず翻訳が良い。
        2. ◎筒井 迪夫(1982)『山と木と日本人』朝日選書 *先人の知恵が事例を通じてまとめられている。
        3. ○堀越 宏一(1997)『中世ヨーロッパの農村世界』山川出版社(世界史リブレット24) *図が豊富でイメージが湧きやすい。
        4. ◎山田 勇編(1999)『講座人間と環境2 森と人のアジア−伝統と開発のはざまに生きる−』昭和堂 *とくに第4章「共生時代の山利用と山づくり−近世山林書の林業技術−」(加藤衛拡著)は必読で、日本林業史・林業技術史が通観できる。
        5. ◎平松 紘(1999)『イギリス:緑の庶民物語−もうひとつの自然環境保全史−』明石書店 *自然享有権の歴史的展開など
        6. ◎水本 邦彦(2003)『草山の語る近世』山川出版社(日本史リブレット) *シバ刈りのシバとは何か
      3. 山村・民俗・土地制度
        1. ◎宮本 常一(1984)『忘れられた日本人』岩波文庫 *山村の昔語り、離島の意思決定など読み応えのある聞き取り
        2. ◎内山 節(1995)『山里の釣りから』岩波書店(同時代ライブラリー212) *著者は哲学(労働過程論)の専門家。多数の著書がある。
        3. ◎横石 知二(2007)『そうだ、葉っぱを売ろう!−過疎の町、どん底からの再生−』ソフトバンククリエイティブ *徳島県上勝町の「葉っぱビジネス」成功までの道のり。「林産物の利用と市場」を考える上でも大いに参考になる。
      4. 林産物の利用と市場
        1. ◎熊崎 実(2000)『木質バイオマス発電への期待』林業改良普及双書[135](全林協) *その後の動きは、大場龍夫(2005)『森林バイオマス最前線』林業改良普及双書[149](全林協)に詳しい。
        2. ○原田 多加司(2004)『屋根の日本史』中公新書 *屋根は木造建築物構造のすべてを知悉していないと作れない。その屋根職人が書いた日本の木造建築の歴史。
        3. 環境三四郎(2006)『割り箸から見た環境問題』
        4. ◎小林 紀之編著(2010)『森林吸収源、カーボン・オフセットへの取り組み』林業改良普及叢書[164](全林協) *注目される政策展開を正確に知るための手引書。
      5. ローカルな森林環境問題
        1. ◎熊崎 実(1977)『森林の利用と環境保全−森林政策の基礎理念−』日本林業技術協会 *近代経済学の諸手法を駆使し、米国での研究を援用しつつ森林の諸機能・諸利用のトレード・オフを解決する道筋を探る基本的な名著。
        2. ○畦倉 実(1986)『水源林の四季−多摩川上流・緑と水のレポート』朝日ブックレット *都民は飲料水の1/5を多摩川に依存している。その水はどこから来るか。詳しくは、泉 桂子(2004)。
        3. ◎富山 和子(2001)『環境問題とは何か』PHP新書 *名著『水と緑と土』中公新書(1974)の続編
        4. ○泉 桂子(2004)『近代水源林の誕生とその軌跡−森林(もり)と都市の環境史−』東大出版会 *水道事業体による水源林への経営参加の歴史を一次資料によって丹念に分析
        5. ◎沢畑 亨(2005)『森と棚田で考えた−水俣発 山里のエコロジー』不知火書房 *水俣市の「愛林館」館長による実践的な棚田−森林保全−都市生活論
      6. グローバルな森林・地球環境問題
        1. ○井上 真(1991)『熱帯雨林の生活−ボルネオの焼畑民とともに−』築地書館 *「焼畑=森林破壊」という俗説を、フィールドワークにより反証した研究過程を判りやすく解説
        2. ○田坂 敏雄(1992)『ユーカリ・ビジネス タイ森林破壊と日本』新日本新書
        3. ○黒田 洋一(1992)『熱帯林破壊とたたかう 森に生きる人びとと日本』岩波ブックレット
        4. ◎熊崎 実(1993)『地球環境と森林』全林協 *新書版ながら、この問題に関する最重要文献。FAO統計の読み方・信頼性などもわかる。
        5. ○R.レペット、黒坂/栗原訳(1991)『地球環境と経済』岩波ブックレット
        6. ○永田 信・井上 真・岡 裕泰(1994)『森林資源の利用と再生』農山漁村文化協会 *「U字型仮説」を提唱
        7. ○樫尾 昌秀(1998)『東南アジアの森−自然を読め!』ゼスト *東南アジアの国際機関に勤務していた著者による統計を交えた概説書。
        8. ◎大塚啓二郎(1999)『消えゆく森の再生学−アジア・アフリカの現地から−』講談社現代新書 *「U字型仮説」の成立条件を検証
        9. ○山田 勇(2006)『世界森林報告』岩波新書
      7. 比較林政論
        1. ◎岡島 成行(1990)『アメリカの環境保護運動』岩波新書 *類似の専門書は多いが、最もコンパクトで入門に最適。
        2. ○調査会編(1999)『諸外国の森林・林業』調査会
        3. ○柿澤 宏昭(2000)『エコシステムマネジメント』築地書館
        4. ◎白石 則彦監修(2010)『世界の林業−欧米諸国の私有林経営−』調査会、388pp. *最新の欧米事情。レポートとしては、一部の国だけを取り上げても良い。
    • 関連諸分野
      1. 環境問題一般
        1. ○華山 謙(1978)『環境政策を考える』岩波新書 *氏の主著は『補償の理論と現実』(ダム問題)。環境政策における合意形成、発言権など、環境論の基礎をなす先駆的著作。
        2. ○鬼頭 秀一(1996)『自然保護を問いなおす−環境倫理とネットワーク−』ちくま新書 *環境倫理学の碩学による問題提起の書。木原(1982)、岡島(1990)など、併せて読むと面白い文献多数。
        3. ◎A.レオポルド、新島訳(1997)『野生のうたが聞こえる』講談社学術文庫 *天然林重視時代のドイツを視察した著者は、帰米後自然保護派となるが、中庸な常識をもった人でもあった。話が飛ぶので全部読むのは大変だが、名著。
      2. 水問題・治水
        1. ○大熊 孝(1988)『洪水と治水の河川史』平凡社・自然叢書7
        2. ○中村 靖彦(2004)『ウォーター・ビジネス』岩波新書 *山林と連関し合い生態系の重要な構成要素である地下水のグローバルな商品化
        3. ○バーロウ/クラーク、鈴木訳(2003)『「水」戦争の世紀』集英社新書 *21世紀は「水の世紀」と言われるが、その実態は「水戦争の世紀」か。
        4. 土地の所有と利用・公共事業のあり方・財政、入会・共有資源
          1. ○戒能 通孝(1964)『小繋事件』岩波新書 *ヨソモノに転売された岩手入会山のその後。古典的名著
          2. ○甲斐/稲本/戒能/田山(1979)『所有権思想の歴史』有斐閣新書 *「土地と人の関係は人と人の関係を投影」という箴言に始まる。世界の近代土地制度史ともいえる。
          3. ◎大塚 久雄(1979)『歴史と現代』朝日選書 *経済史に関する深い学識から、東洋・西洋を見渡した大塚史学のエッセンス
          4. ○井上 真・宮内 泰介(2001)『コモンズの社会学』新陽社 *環境社会学からのコモンズ論
          5. ◎水本 邦彦(2003)『草山の語る近世』山川出版社(日本史リブレット) *「ちょっと昔」の山間地域はどうなっていたか。巻末の参考文献も内容のある良書が多い。
          6. ○五十嵐・天野(2003)『市民事業』中公新書ラクレ *事例が中心なのでわかりやすい。理論から入りたい人は神野直彦先生の一連の著作がおすすめ。
          7. ○井上 真(2004)『コモンズの思想を求めて』岩波書店 *「協治」論

    • もっと知りたい人のために−刊年順−
      1. ○土木学会編(1936)『明治以前日本土木史』岩波書店
      2. ○島崎 藤村(1936)『夜明け前』青空文庫 http://www.aozora.gr.jp/cards/000158/card1504.htmlなど *木曽御料林をめぐる入会紛争
      3. ○服部 希信(1940)『林業経済研究』西ヶ原刊行会 *京大林政教授による戦前期の名作。
      4. ○島田 錦蔵(1941)『森林組合論−部落共有地の実相研究を基として−』岩波書店 *東大林政教授による戦前期の最高傑作。一代前の川瀬教授収集資料による入会林野の分析が重要
      5. ○レオーノフ『ロシアの森(上)(下)』岩波書店(原作1954年) *木材生産優先の時代に森林保全論を説いた学者「ヴィフローフ教授」を主人公とするフィクション。
      6. ○古島 敏雄編(1955)『日本林野制度の研究』東京大学出版会 *原著より、古島著作集を当たる方が早いかも。
      7. ○林業発達史調査会(1960)『日本林業発達史 上巻』林野庁 *林業基本法を制定するに当たって林野庁が、当時の研究者を総動員して作成した労作。下巻はない。
      8. ○カーソン、青樹訳(1964)『生と死の妙薬 Silent Spring』新潮文庫 *別名『沈黙の春』。経済成長最優先の時代、農薬使用がもたらす生態系破壊に警鐘を鳴らした不朽の名著。理系なら常識。文系にこそ読んでほしい。
      9. ○古島 敏雄(1967)『土地に刻まれた歴史』岩波新書
      10. ◎川島 武宜編集(1968)『占有権・所有権・用益物権』有斐閣 *入会権の法的側面の専門的解説が含まれる。法学からアプローチする上での最適な不朽の入門書。
      11. ○D.ハフ(1968)『統計でウソをつく法−数式を使わない統計学入門−』講談社ブルーバックス *ロングセラー。理系が読んでも面白いだろうが、文系なら必読の一冊。
      12. ○高橋 裕(1971)『国土の変貌と水害』岩波新書 *東大の河川工学の一時代を築いた著者による名著
      13. ○林業経営研究所編(1972)『都市林:くらしの中の豊かなみどり』農林出版 *高橋論文は欧州都市林に関する数少ない文献の一つ
      14. ○四手井 綱英(1974)『日本の森林 国有林を荒廃させるもの』中公新書 *生態学者による森林管理論
      15. ○上田 篤(1974)『日本人とすまい』岩波新書
      16. ○大川 健治(1975)『紙パルプ業界』教育社新書
      17. ○遠山 富太郎(1976)『杉の来た道 日本人の暮らしを支えて』中公新書
      18. ○大島 美津子(1977)『明治のむら』教育社歴史新書
      19. ○北田 和夫(1979)『木材業界』教育社新書 *このシリーズは改訂版が随時出る(官庁物では『林野庁』なども)
      20. ○熊代 幸雄(訳)(1979)『チューネンの林業地代論』みずほ社 *「北海道や欧州平坦地で、耕地と森林の境界がどう決まっているか」「途上国でパルプ商社が農地にユーカリを植える条件はなにか」、等を考えると「地代論」の世界に入ります。
      21. ◎紙野 伸二(1982)『地方林政の課題』日本林業技術協会 *地方分権を先取りして実態と論理を整序した好著。
      22. ○木原 啓吉(1982)『歴史的環境−保存と再生−』岩波新書 *森林にかぎらないが、ナショナルトラスト運動を日本で唱道した草分け的論者による入門書。森林の「保全」に通じる考え方、土地所有権をいかに規制するか、などが参考になる。
      23. ○鬼頭 宏(1983)『日本二千年の人口史』PHP研究所 *今日の経済停滞を、2000年の歴史から見直すと…。この本は講談社学術文庫『人口から読む日本の歴史』として再版。後者が入手しやすい。
      24. ○奥地 正・鷲尾 良司編著(1983)『転換期の林業・山村問題』新評論 *プラザ合意直前の林業・山村の状況
      25. ○吉田 昌之(1983)『木材関連産業論』明文書房
      26. ○国民金融公庫調査部(1983)『日本の木材関連産業』中小企業リサーチセンター
      27. ○依光 良三(1984)『日本の森林・緑資源』東洋経済新報社 *「日本の林野利用面積の長期的推移」図はよく引用される
      28. ○筒井 迪夫編著(1984)『公有林野の現状と課題』公有林野全国協議会 *長年の公有林野調査(旧入会林)の成果
      29. ○宮村 忠(1985)『水害』中公新書
      30. ○西尾 隆(1988)『日本森林行政史の研究』東京大学出版会 *近代林政史に関する政治学者の著作
      31. ○阿部 泰隆(1988)『国家補償法』有斐閣 *私的所有権と公共の利益の関係について、ad hocに蔟生した日本の行政立法を比較研究した大著。森林法のみによる開発規制の限界がわかる。同氏の「万民自然享受権」『法セミ』296〜298(1979年)も重要文献。
      32. ○丹羽 邦男(1989)『土地問題の起源−村と自然と明治維新−』平凡社(選書130)
      33. ◎内山 節編(1989)『<森林社会学>宣言−森と社会の共生を求めて−』有斐閣選書 *林政論に斬新な切り口を与えたエポックメイキングな一冊
      34. ◎J.ウェストビー、熊崎実訳(1990)『森と人間の歴史』築地書館 *『森林の歴史』(クセジュ文庫)に飽き足らない人は必読
      35. ○日本弁護士連合会(1991)『森林の明日を考える』有斐閣 *自然享有権に関する考察
      36. ◎千葉 徳爾(1991)『はげ山の研究 増補改訂版』そしえて *「日本人は自然を愛する民族」といった言説に冷水を浴びせる。
      37. ○沖浦 和光(1991)『竹の民俗誌』岩波新書
      38. ◎土屋 俊幸(1991)「山村」、『日本村落史講座 第3巻 景観2(近世・近現代)』、雄山閣、所収、pp.181-214
      39. ○A.ベルク、篠田訳(1992)『風土の日本−自然と文化の通態−』ちくま学芸文庫 *フランス人文科学の水準を伺わせる日本研究の粋
      40. ○畠山 武道(1992)『アメリカの環境保護法』北海道大学図書刊行会 *第一人者による専門書
      41. ○樋口 清之(1993)『日本木炭史』講談社学術文庫 *大著の普及版。類書をみない。
      42. ○宮林 茂幸(1993)『森林レクリエーションとむらおこし・やまづくり』全林協
      43. ○山村 恒年(1994)『自然保護の法と戦略[第2版]』有斐閣選書 *自然保護のために裁判を起こすにはどうすればよいか、弁護士によるハンドブック的古典。
      44. ○橋本 克彦(1994)『森に訊け』講談社文庫 *森林/林業に関わる現場の人々や研究者へのインタビュー。海外編もある。
      45. ○植村 武司(1994)『林野庁解体』日本経済評論社 *山村から提起された林野庁批判
      46. ○瀬田 勝哉(1995)『「木」の語る中世』(朝日百科日本の歴史別冊23) >嵐山の景観変遷など、関西地方の森林・木材利用について史料図版を豊富に駆使している。12世紀に相当規模の開墾が行われた、との指摘など。
      47. ○藤田 佳久(1995)『日本・育成林業地域形成論』古今書院 *林業史に対する経済地理学的接近
      48. ○井上 真(1995)『焼畑と熱帯林―カリマンタンの伝統的焼畑システムの変容−』弘文堂 *著者渾身の研究書
      49. ○木平 勇吉編著(1996)『森林環境保全マニュアル』朝倉書店 *計画論に市民を含めた合意形成過程を組み込む
      50. ○依光 良三(1996)『グリーン・ツーリズムの可能性』日本経済評論社
      51. ○K.ハーゼル・山縣 光晶訳(1996)『森が語るドイツの歴史』築地書店 *原書名はForstgeschichte
      52. ○井上 孝夫(1996)『白神山地と青秋林道』東進堂 *社会学からみた森林開発公団(その後、緑資源機構)林道問題
      53. ○小池 浩一郎・藤崎 成昭編著(1997)『森林資源勘定−北欧の経験・アジアの試み−』アジア経済研究所 *国民経済計算(SNA)の発想で、森林・林業・林産業のマクロ統計を整合的に表章する試み。
      54. ○佐和 隆光(1997)『地球温暖化を防ぐ−20世紀型経済システムの転換−』岩波新書 *北欧が1990年代に導入した炭素税が日本ではなぜ導入されないのか。その是非如何。
      55. ○松村 和則編著(1997)『山村の開発と環境保全−レジャースポーツ化する中山間地域の課題』南窓社 *編著者は「スポーツ社会学」が専門。興味深い論文多数。
      56. ○川崎 寿彦(1997)『森のイングランド−ロビン・フッドからチャタレー夫人まで−』平凡社ライブラリー *「アジール」としての森林など。英文学者によるユニークな著作
      57. ○安田 喜憲(1997)『森を守る文明・支配する文明』PHP新書 *花粉分析から「レバノン杉」がかつて本当にあったことを実証(安田 喜憲(1995)『森と文明の物語−環境考古学は語る−』ちくま新書、の続編)
      58. ○森川 潤(1997)『ドイツ文化の移植基盤−幕末・明治初期ドイツ・ヴィッセンシャフトの研究−』雄松堂出版 *林学に限らず、諸学問を日本人留学生がドイツから摂取した過程を現地文献により解明した労作
      59. ○萩野 敏雄(1997)「ドイツ林学派外交官とフランス林学派日本画家−青木周蔵と高島得三(北海)−」『学士会会報』816, pp.69-73 *萩野氏は近代日本林政史・林業史に関する膨大な専門的著作で知られる。その中で、最も入手・閲読しやすい文献。
      60. ○足立 倫行(1998)『森林ニッポン』新潮選書
      61. ○福岡 克也(1998)『エコロジー経済学:生態系の管理と再生戦略』有斐閣 *近代経済学的環境経済学
      62. ○C.タットマン、熊崎実訳(1998)『日本人はどのように森をつくってきたのか』築地書舘 *配付した笠原六郎の『山林』論文が言及
      63. ○郷津 久男(1999)『信州過疎村報告』小学館文庫、236pp. *「鎮山親水」を説く長野県小谷村村長の現場報告。「論」としてはとらえにくいが、豊富な写真資料にも価値がある。
      64. ○上田 信(1999)『森と緑の中国史−エコロジカル・ヒストリーの試み−』岩波書店
      65. ○船越 昭治編(1999)『森林・林業・山村問題入門』地球社 *林政卒論レベルの代表的教科書
      66. ○ヨースト・ヘルマント・山縣光晶訳(1999)『森なしでは生きられない』築地書館
      67. ○大日本山林会(2000)『戦後林政史』 *いまだに「大日本」を冠している団体も珍しいが、この本自体は重要な論文が多い。とくに第2章。
      68. ○堀 靖人(2000)『山村の保続と森林・林業』九州大学出版会 *農林家分析・欧州山村地域政策など
      69. ◎志賀和人・成田雅美(2000)『現代日本の森林管理問題』全国森林組合連合会 *労働者や担い手の不足、不在村所有者問題など、現場で起こっていることを全国各地で調査
      70. ○小林 紀之(2000)『21世紀の環境企業と森林』調査会 *企業にとっての森林CSR
      71. ○藤森 隆郎(2000)『森との共生−持続可能な社会のために−』丸善ライブラリー *森林施業論の専門家による森林管理論
      72. ○栗山浩一・北畠能房・大島康行(2000)『世界遺産の経済学:屋久島の環境価値とその評価』勁草書房 *環境評価の経済学的手法を駆使
      73. ○内山 節編(2001)『森の列島に暮らす−森林ボランティアからの政策提言−』コモンズ
      74. ○大塚 久雄(2001)『欧州経済史』岩波現代文庫 *大塚史学がとりあえず文庫で読める
      75. ○鳥越 皓之編(2001)『講座環境社会学3 自然環境と環境文化』
      76. ○依光 良三(2001)『流域の環境保護:森・川・海と人びと』日本経済評論社
      77. ○遠山 茂樹(2002)『森と庭園の英国史』文春文庫
      78. ○遠藤 日雄(2002)『スギの行くべき道』全林協
      79. ○餅田 治之編著(2002)『日本林業の構造変化と再編過程−2000年林業センサス分析−』農林統計協会 *全国統計を利用した俯瞰的分析
      80. ○神野 直彦(2002)『地域再生の経済学―豊かさを問い直す−』中公新書:新書版だが内容は高度。財政学の基礎を学んだ上で読むことを推奨。
      81. ○金子 郁容(2002)『新版 コミュニティ・ソリューション―ボランタリーな問題解決に向けて−』岩波書店 *ボランティア論に理論的基礎を与える
      82. ○原後 雄太・泊 みゆき(2002)『バイオマス産業社会―「生物資源(バイオマス)」利用の基礎知識』築地書館
      83. ○M.B.マイケル・B.ジェンキンスら、大田伊久雄ら訳(2002)『森林ビジネス革命−環境認証がひらく持続可能な未来』築地書館
      84. ○佐久間 充(2002)『山が消えた 残土・産廃戦争』岩波新書
      85. ○小田 隆則(2003)『海岸林をつくった人々−白砂青松の誕生−』北斗出版
      86. ○矢作川漁協100年史編集委員会(2003)『環境漁協宣言−矢作川漁協100年史−』風媒社 *水をめぐる紛争や交渉による流域意識の高さが評価される愛知・矢作川の漁協の歴史。この流域に関心のある向きは「明治用水」についても調べると良い。
      87. ○横田 康裕(2003)「地元住民から見た森林破壊」.桜井厚・好井裕明編著『差別と環境問題の社会学』新曜社、所収
      88. ○浜田 久美子(2003)『スウェーデン 森と暮らす◆木と森にかこまれた豊かな日々』全林協
      89. ○井上 真編著(2003)『アジアにおける森林の消失と保全』中央法規出版 *アジア諸国の専門家による森林問題の分析
      90. ○全林協(2004)『森林認証と林業・木材産業』全林協
      91. ○菊間 満・林田 光祐(2004)『ロシア極東の森林と日本』東洋書店(ユーラシア・ブックレット)
      92. ◎堺 正紘編著(2004)『森林政策学』調査会 *林政分野で、最新の教科書
      93. ○菊間 満(2004)『甦る住文化−伝統木構法と林業振興の道−』調査会
      94. ○大塚 柳太郎編(2004)『ソロモン諸島−最後の熱帯林』東京大学出版会
      95. ○室田 武・三俣 学(2004)『入会林野とコモンズ−持続可能な共有の森−』日本評論社 *経済学からのコモンズ論
      96. ○宮内 泰介(2004)『自分で調べる技術−市民のための調査入門−』岩波アクティブ新書117 *社会にかかわりあう理系におすすめ
      97. ○石井 寛・神沼 公三郎編著(2005)『ヨーロッパの森林管理』調査会 *比較林政論における最新の知見集
      98. ○大野 晃(2005)『山村環境社会学序説』農山漁村文化協会
      99. ○北尾 邦伸(2005)『森林社会デザイン学序説』調査会
      100. ○黒瀧 秀久(2005)『日本の林業と森林環境問題』八朔社
      101. ○村串 仁三郎(2005)『国立公園成立史の研究』法政大学出版局 *全国の国立公園地域で収集した史料から、成立期の諸紛争における利害対立関係を浮き彫りにした労作
      102. ○S.シャーマ、高山/栂訳(2005)『風景の記憶』河出書房新社 *西洋史学の知見を十全にふまえた重厚な美術史。林内散策の起源など、刺激的な指摘多数。森林関係の訳語には若干難がある。
      103. ◎白水 智(2005)『知られざる日本−山村の語る歴史世界−』NHKブックス[1030] *「外」からみた山村調査の描き出した「山村」像を疑う視点の転換
      104. ○田村 秀(2006)『データの罠−世論はこうしてつくられる−』集英社新書 *地方行政の専門家によるハフの日本版。
      105. ○遠山 益(2006)『本多静六 日本の森林を育てた人−』実業之日本社 *本多静六は東大「林学」創始者のひとり
      106. ○柳幸 広登(2006)『林業立地変動論序説 : 農林業の経済地理学』調査会 *途上国や日本で、植林が成立する条件を、地代論的接近により理論的・実証的に解明してきた著者の遺稿集。
      107. ○鈴木/富野編著(2006)『コモンズ論再考』晃洋書房 *法学者による環境社会学コモンズ論批判。
      108. ○D.ジェンセン/G.ドラファン、戸田 清訳(2006)『破壊される世界の森林−奇妙なほど戦争に似ている−』明石書店
      109. ○米本 昌平(2006)『バイオポリティクス―人体を管理するとはどういうことか−』中公新書 *遺伝子情報の所有権論。生物多様性問題につながる。このリンケージについてはヴァンダナ・シヴァの著書多数。
      110. ○藤井 良広(2007)『金融NPO−新しいお金の流れをつくる−』岩波新書 *株に投資すれば、まわりまわって身近な自然が破壊され、途上国の労働力が酷使されるかもしれません。顔の見えるところで資金を回せばどうか。
      111. ○森林総合研究所(2007)『森林・林業・木材産業の将来予測』調査会 *計量モデルや実態調査により、日本を中心とした林業の将来を総合的に見通した近著。類書をみない。
      112. ○加藤 衛拡(2007)『近世山村史の研究−江戸地廻り山村の成立と展開−』吉川弘文館 *埼玉・名栗村を中心とした長年にわたる近世史研究の集大成。
      113. ○ドロール/ワルテール、桃木/門脇訳(2007)『環境の歴史』みすず書房
      114. PALETTO, Alessandro/SERENO, Cristina/FURUIDO, Hiromichi(2008):Historical evolution of forest management in Europe and in Japan(欧州および日本における森林管理の歴史的展開) *東大レポジトリでDL可(左のリンクより)。スライドで説明した「TP→SY→SFM→EM」という森林管理方式の展開は、この論文におけるPALETTOのアイディア。西洋史についてはSERENOが補筆。日本のパートと今日における政策的含意は三井昭二をもとにFURUIDOが書いている。
      115. 白井 裕子(2009)『森林の崩壊−国土をめぐる負の連鎖−』新潮新書 *日本の住宅木材利用の実態から、森林問題へ接近。著者は工博・一級建築士
      116. ○三井 昭二(2010)『森林社会学への道』調査会
      117. ○佐藤 宣子編著(2010)『日本型森林直接支払いに向けて−支援交付金制度の検証−』調査会
      118. ○島本 美保子(2010)『森林の持続可能性と国際貿易』岩波書店 *気鋭の環境経済学者によるマクロ分析
      119. ○池上 俊一(2010)『森と川』刀水書房 *欧州中世史。堀越(1997)はフランス中心だが、本書はイタリアの知見も加えて論じる
      120. ○梶山 恵司(2011)『日本林業はよみがえる』日本経済新聞社 *「森林・林業再生プラン」の仕掛け人による問題提起
※現在、森林・林業研究専門書の多くは「日本林業調査会」から出ている。ここ数年来多くの良書が出ており、このリストへの追加・更新が追いついていない。新刊書はこちら。一部を覗き、部数が少ないので品切れになりやすい。図書館にも無い場合、 http://www.j-fic.com/bd/category/shinagirezeppan/ からコピーサービスを申し込む(有料)ことは可能。
※文庫・新書類は、絶版・品切れでも、古書店のワゴンやBOOK・OFFあたりでタダ同然で拾えることがある。入門書を探す場合、早稲田の古書店が概して安い。上級書は神田・本郷にあることが多いが概して高価。

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