3. 完備性と標準形

NANDによる完備性

ある基本関数(ゲート)の組合せによって,すべての論理関数(回路)を実現できる場合,その組合せは完備性を満たすと言います.NOT, AND, ORの組合せは完備性を満たすことが知られています.NANDは単独で完備性を満たしますが,それはNANDのみで NOT, OR, ANDを実現可能であることで確認できます.

NOTゲートがNANDゲートのみで実現可能なことは,以下の回路で確認できます.

NANDによるNOTの実現 NANDによるNOTの実現

ANDゲートがNANDゲートのみで実現可能なことは,以下の回路で確認できます.

NANDによるANDの実現

ORゲートがNANDゲートのみで実現できることを確認しましょう.3つのNANDゲートで実現できるはずです.また,XOR/EOR(Exclusive OR:排他的論理和)もNANDゲートのみで実現できるでしょうか? 4つのNANDゲートで実現できるはずなので,試してみましょう.

NANDによるOR/XORの実現

加算標準形と乗算標準形

論理関数(論理回路)を NOT(否定), AND(積), OR(和)で実現する場合,一意に定まる構成法として加算標準形(積和標準形)と乗算標準形(和積標準形)があります.加算標準形は1を出力するパターンに対応した積の項を和で結合した形式で,乗算標準形は0を出力するパターンに対応した和の項を積で結合した形式です.XOR/EOR(Exclusive OR:排他的論理和)やEQ/ENOR(Equivalence:等値)の加算標準形と乗算標準形の論理回路を構成してみましょう.

加算標準形と乗算標準形