[2022S人社・文]ギリシア語散文精読(プラトーン『饗宴』)
[松浦高志の授業用ページ]
目次
連絡事項
参考文献へのリンク
中級講読でよく用いられる参考文献についてはhttps://museion.sakura.ne.jp/wiki/?eLearning/Intermediate/Greekを参照すること.
授業概要
以下の記録の正確性は保証しない.
- 開講
- 令和4年度(2022年度)Sセメスター
- 科目名(学部)
- 西洋古典学特殊講義Ⅰ
- 科目名(学部:英語)
- Topics in Greek and Latin Classics I
- 科目名(大学院)
- ギリシア語散文講読
- 科目名(大学院:英語)
- Greek Prose Reading
- 開講日時
- 木曜4時限(14:55–16:40)
- 時間割コード(学部)
- 04223941
- 時間割コード(大学院)
- 21223103
- 単位数
- 2.0
- 主担当教員
- 日向太郎,松浦高志
- 教室
- オンライン授業(第1–2回)/本郷キャンパス法文1号館115教室(第4–13回)
- 履修人数:学部
- 7名
- 履修人数:大学院
- 7名
授業日程
文学部/大学院人文社会系研究科の通常の授業日程に従う.
- 2022/04/07
- 2022/04/14
- 2022/04/21: 休講
- 2022/05/12
- 2022/05/19
- 2022/05/26
- 2022/06/02
- 2022/06/09
- 2022/06/16
- 2022/06/23
- 2022/06/30
- 2022/07/07
- 2022/07/14
第13回(2022/07/14)
授業内容
- プラトーン『饗宴』173c10–d10 (... πλὴν Σωκράτους.).
参照文献
- Andrew L. Sihler, New Comparative Grammar of Greek and Latin (New York, 1995), §44.
- N. G.ウィルソン,L. D.レイノルズ『古典の継承者たち』西村賀子,吉武純夫訳(国文社,1996).
- Richard Tarrant, Texts, Editors, and Readers: Methods and Problems in Latin Textual Criticism (Cambridge, 2016).
- Martin L. West, Textual Criticism and Editorial Technique (Stuttgart, 1973).
- Paul Maas, Textual Criticism, tr. Barbara Fowler (Oxford, 1958).
学期末レポート
ITC-LMSの「課題」で提出してください.指示はそのページに書かれています.
第12回(2022/07/07)
授業内容
- プラトーン『饗宴』173b9–c10 (... οὐδὲν ποιοῦντες.).
第11回(2022/06/30)
授業内容
- プラトーン『饗宴』173b1–9 (... καὶ λέγειν καὶ ἀκούειν.).
第10回(2022/06/23)
授業内容
- プラトーン『饗宴』173a4–173b1 (... ὅσπερ Φοίνικι·).
第9回(2022/06/16)
授業内容
- プラトーン『饗宴』172c5–173a4 (... ἢ φιλοσοφεῖν.).
第8回(2022/06/09)
授業内容
- プラトーン『饗宴』172b7–c5 (... ὦ Γλαύκων;).
参照文献
- S. Hornblower (ed.), Oxford Classical Dictionary³ (Oxford, 2003).
東京大学では第3版を電子ブックで購読していますので,OPACで「電子ブック」にチェックを入れると簡単に探して閲覧できます(2012年の第4版は印刷版のみ).Agathonやsymposiumの項目を読んでみるとよいでしょう.
第7回(2022/06/02)
授業内容
- プラトーン『饗宴』172a9–b7 (... σὺ οὖν μοι διήγησαι·).
参照文献
- G. Wissowa (Hg.), Paulys Real-Encyclopädie der classischen Altertumswissenschaft. Register der Nachträge und Supplemente, von H. Gärtner und A. Wünsch (München, 1980), 177, 249.
第6回(2022/05/26)
授業内容
- プラトーン『饗宴』172a8–11 (... διαπυθέσθαι ...).次回はκαὶ ὃς, ... (172a9)の文からやります.
参照文献
- A. Allen, ‘Ὦ Φαληρεύς: Plato, Symp. 172a’, Philologus, 164 (2020), 342–347.
- D. Sansone, ‘Getting the Joke at Plato, Symposium, 172a’, Classical Philology, 112 (2017), 479–482.
- GP s.v. καὶ μήν (pp. 351–358).
第5回(2022/05/19)
授業内容
- プラトーン『饗宴』172a5–8 (... οὐ περιμενεῖς;).
参照文献
- Richard J. A. Talbert (ed.), Barrington Atlas of the Greek and Roman World (Princeton, 2000).
- G. Wissowa (Hg.), Paulys Real-Encyclopädie der classischen Altertumswissenschaft (Stuttgart, 1894–1980).
- Valerian von Schoeffer, ‘δῆμοι’, RE 5 (1905), 1–131.
Wissowa (Hg.), Real-Encyclopädieは,ふつうREと略します.
第4回(2022/05/12)
授業内容
- プラトーン『饗宴』172a1–5 (... οἴκοθεν ἀνιὼν Φαληρόθεν.).
参照文献
- T. W. Allen, Plato: Codex Oxoniensis Clarkianus 39, Pars prior (Lugduni Batavorum, 1898). Internet Archive
- GP 108–109, 425–426.(ITC-LMSで配布)
第3回(2022/04/21)
休講.
第2回(2022/04/14)
授業内容
UTNETの障害のため,16:00頃までZoomにつなげられない状況でした.その後もつなげられなかった方がいらっしゃると思いますので,簡単ですが,下の「参照箇所」で復習をお願いします.
- プラトーン『饗宴』172a1–3 (... οὐκ ἀμελέτητος εἶναι.).
解説が終わらなかったので,次回も作品冒頭から講読します.
参照箇所
[2022/04/16付記]学期末のレポートには各自で調べたことを書いてもらいますので,書く際の参考に(も)してください.書く内容はもちろん各自のレベルに合わせたものでよいです.
- プラトーンのテキストの箇所を示す場合には,岩波全集などで用いられている章(節)番号は一般に用いない.Stephanus版のページ数と段(A / B / C / D / E)と,段の中の行数で示す(ut_2022s_plsmp_52_Stephanus.pdf参照).たとえば今回読んだ箇所はPl. Smp. 172a1–3(172ページA段第1–3行)のように書く.Stephanus版はプラトーンの作品を全3巻に収録してあり,ページ番号は通しではないが,同じ作品が複数の巻にわたっていることはないので,巻番号は書く必要がない(その代わり作品名を書く).段は先ほどのように小文字で表す場合と,‘172A 1–3’のように大文字で表す場合(ただしこの場合上付き)とがある.
- 古典期アッティカ方言(+初期叙事詩)の動詞の6つの主要部分(principal parts)を調べたい場合は,LSJなどで調べるよりは,Smyth, Grammar², pp. 684–722 (‘List of Verbs’)で調べた方が簡単で確実.
- 172a1 δοκῶ: δοκέωの用法はLSJを見ただけだと頭の中で整理することが難しいので中級文法書で調べるとよい.自分で調べる場合はSmythの索引でδοκέωを引く.δοκέωがこの箇所のように「〜と思われる」(it seems)の意味である場合,人称構文(personal construction,人が主語に立つこと)を取ることが多い(Smyth §1983).cf. «δοκῶ γάρ μοι ἄδυνατος εἶναι»「なぜなら私はそれができないと私に思われるから」(Pl. R. 368B).そのため,«δοκεῖ τίς μοι ἐλθεῖν»「誰かが来たと私には思われる」(人が主語)を «δοκεῖ μοί τινα ἐλθεῖν»([対格+]不定詞が主語)とすることは非常にまれ(Smyth §1983.a).「準非人称構文」(quasi-impersonal)を取ることもあるが,この場合不定詞が主語に立ち,δοκεῖ + inf.「〜することがよいと思われる」の意味になる(Smyth §§1984–1985).さて,δοκέωは母音融合動詞であるが,ふつうの母音融合動詞とは違う.特に第一アオリスト形はἐδόκησαではなくἔδοξαになる(cf. φιλέω ‘to love’ <-> ἐφίλησα).実際にはἐδόκησαも用いられることがあり,たとえばLSJ p. 442, col. i, l. 6にはこれが載っているが,Smyth, Grammar², p. 693を見ると‘Poetic forms’(韻文で用いられる形)とある.そこでもう一度LSJに戻ると,用例が『オデュッセイア』(Od.),アイスキュロス(A.)の悲劇,アリストパネース(Ar.)の喜劇など,どれも韻文であることがわかる.なぜこのような形になるかについて,たとえばSmyth §485を見ても,‘To the verb-stem ε is added to make the present stem in δοκέω seem, fut. δόξω, aor. ἔδοξα (δοκ-)’とあるだけで,なぜ現在幹で -ε- が挿入されるのかの説明がない.Duhoux, verbe² §300 (p. 351)を見ると,印欧祖語(i.-e.)の現在幹(のみ)で用いられる *-ei̯e/o- (δοκ-έω)に含まれるεが,分割位置が語根側(左側)に移動することによりδοκέ-ωと理解されたので,φιλέωのようなふつうの母音融合動詞と同じように扱われるようになったという説明がある.これ以上のことを調べる場合は,ギリシア語の語源辞典(Beekes, Etymologicalなど),あるいはさらに印欧祖語の動詞(語根)辞典を調べるとよい.LIV s.v. *deḱ- を見ると,使役相(causative)とある.この場合,語根の母音が *dek- の代わりに *dok- となり,時称幹が *-ei̯e/o- となる.(ギリシア語の)第一アオリストはNeubildung(新しく形成された形態)のところにある.LSJに戻って確認してみると,s.v. Iには‘Iterat[ive] of δέκομαι’「δέκομαιの反復相」とあるので解釈が両者で異なっていることがわかる.
配布物
- LSJ s.v. δοκέω.
- Intermediate s.v. δοκέω.
- LIV s.v. *deḱ-.
- Yves Duhoux, Le verbe grec ancien² (Louvain-la-Neuve, 2000), §300 (p. 351).
第1回(2022/04/07)
授業内容
- 「プラトーン『饗宴』」.
次回は作品冒頭から講読します.
配布物
- 「プラトーン『饗宴』」.
シラバス内容
講義題目
ギリシア語散文精読(プラトーン『饗宴』)
授業の目標・概要
古典期アッティカ方言で作られた易しめの散文を精読し,古代ギリシア語への理解を深める.
今セメスターはプラトーン『饗宴』(Plato, Symposium)の冒頭から講読する.
易しめの散文を講読するので,古典ギリシア語の初級文法を(ほぼ)終えていれば無理なく受講できる.この授業では,特に形態論,統語論,語彙,語法に注意し,ギリシア語を精確に理解するのを目標とする.講読の量は多くはないが,学修の段階に応じ,能動的に予習をしてくることが要求される.
古典ギリシア語の初級文法を終えたばかりの場合,まずは初級文法書で学んだ形態論や統語論を定着させるために,単語一つひとつの形や語法等を初級文法書や中級者向け辞典を用いてしっかり調べておき,授業中に説明できるようにしておくことが要求される.また中級文法書(Smyth, Grammarなど)や大辞典(LSJ)などの使い方を説明するので,授業中に示されたそれらの参照箇所を,読んで理解できるように努めてほしい.
中級講読をある程度行い文法事項が身に付いている学生・院生は,中級文法書を使いこなせるようになることが要求される.初級文法書や中級者向け辞典では説明が省略されているような事項についても,各自で調べて説明できるようにしてほしい.
十分な講読の経験がある場合,以上に加えて中級文法書等では不十分な箇所等についても,上級文法書や各種専門書,論文等を用いて調べてくることが要求される.
授業のキーワード
- 日本語
- ギリシア語,ギリシャ語,プラトーン,プラトン,文法
- 英語
- Greek, Plato, Grammar
授業計画
↓↓↓↓↓ 2022/03/17追記 ↓↓↓↓↓
(「授業実施形態」の記述にかかわらず)初回から2–3回程度はオンライン形式とする(新学期開始直後の教室内の混雑回避のため).URL等はITC-LMSで確認のこと.オンライン形式とする具体的な回数はITC-LMSの「お知らせ」で連絡する.
↑↑↑↑↑ 2022/03/17追記 ↑↑↑↑↑
第1回はイントロダクションのみなので予習は不要.テキストの配布や,参考文献についての解説を行う.
第2回以降は講読を行うので毎回予習が必要である(「授業の方法」参照).最終回終了後,レポートの提出が必要(「成績評価」参照).
授業の方法
輪読形式である.本文を1文くらいずつに短く区切り,学生・院生に当てて音読,和訳,調べてきたことの発表を行ってもらう.その後,正しく理解できているかどうか確認するため,教員がいくつか質問するので答えてもらう.最後に,必要があれば問題となる箇所について全員で議論する.
読む分量は多くないので,学生・院生に事前に訳読箇所を割り振ることはしない予定であるが,受講者の状況により必要があればそのようにする.
成績評価方法
授業中の訳読や発言(80点)と学期末のレポート(20点).
レポートは,ふだん授業で行っていることを,文章できちんと記述できるかどうかを試すものである.授業で扱った箇所の一部を指定するので,和訳と,文献を使って調べたことを書いて提出する.
教科書
教科書は使用しない.
参考書
- H. W. Smyth, Greek Grammar², rev. G. Messing (Cambridge, Mass., 1956).
- J. D. Denniston, Greek Particles², rev. K. J. Dover (Oxford, 1954).
履修上の注意
古典ギリシア語初級を(ほぼ)終えていればよい.
関連ホームページ
http://lecture.ecc.u-tokyo.ac.jp/~cmatuura/
研究室電話番号
オンライン授業URL
ITC-LMSで確認すること.
オンライン授業内容
ITC-LMSで確認すること.
授業実施形態
対面型
リンク
Last modified: 2022/07/14
cmatuura<AT>mail.ecc.u-tokyo.ac.jp
© 2022 MATSUURA Takashi