[2021A教養学部前期/後期課程]古典ギリシア語初級(後半)
[松浦高志の授業用ページ]
目次
連絡事項
以前掲載していた「古代ギリシア語基本単語192(単語カード)」はトップページに移動しました.
授業概要
以下の記録の正確性は保証しない.
- 開講
- 令和3年度(2021年度)Aセメスター
- 科目名(前期課程)
- 古典語初級(ギリシア語)II
- 科目名(前期課程:英語)
- Classical Greek II (Introductory)
- 科目名(後期課程)
- 共通ギリシア語(12)
- 科目名(後期課程:英語)
- Greek (12)
- 開講日時
- 金曜5時限(16:50/17:05–18:35)
- 時間割コード(前期課程)
- 51080
- 時間割コード(後期課程)
- 08A9212
- 単位数
- 2.0
- 科目区分
- 総合科目L(言語・コミュニケーション)
- 教室
- オンライン授業
- 教科書
- 水谷智洋『古典ギリシア語初歩』(岩波書店,1990).
- 履修人数:古典語初級(ギリシア語)II
- 1名
- 履修人数:共通ギリシア語(12)
- 2名
授業日程
教養学部の通常の授業日程に従う.
- 2021/10/08
- 2021/10/15
- 2021/10/22
- 2021/10/29
- 2021/11/05
- 2021/11/12
- 2021/11/19: 11月26日は定期試験日のためなし
- 2021/12/03
- 2021/12/10
- 2021/12/17
- 2021/12/24
- 2022/01/07
- 2022/01/18: 火曜日に実施
第13回(2022/01/18)
授業内容
- 小テスト(13).
- 練習36.1–2.
- 第8課§§47–52.
- プラトーン『ソークラテースの弁明』17a1–7(ὅ τι μὲν ὑμεῖς, ... δεινοῦ ὄντος λέγειν).
- 授業評価アンケート(前期課程のみ).
プラトーン『ソークラテースの弁明』
プラトーン『ソークラテースの弁明』中のある箇所が言及される場合,LSJには «Pl. Ap.» とステパヌス版のページ数+段落(10行ごとにA, B, C, D, Eで区切られる)が書かれる.Intermediateの場合作品名は明示されないので «Pl.» のみ.GPには引用箇所索引がある.Smythには引用箇所索引は付いていないので,Schumann, Indexを用いるとよい.
凡例
- GP
- J. D. Denniston, Greek Particles², rev. K. J. Dover (Oxford, 1954).
- LSJ
- H. G. Liddell and R. Scott (eds), Greek-English Lexicon⁹, rev. H. S. Jones (Oxford, 1940).
- Smyth
- H. W. Smyth, Greek Grammar², rev. G. M. Messing (Cambridge, Mass., 1956).
参照箇所
- ὅ τι (Pl. Ap. 17a): ὅ τι(男性単数主格はὅστις)は不定関係代名詞(Steadmanの注は不正確).ただしこの不定関係代名詞は,間接疑問文中において疑問代名詞の代わりとして用いられている(教科書§129).間接疑問文を導いているのはοἶδα.
- ὑμεῖς: 最初の母音は長母音(ῡ̔μεῖς).
- πεπόνθατε: 意味について,LSJ s.v. πάσχω A.II.2には‘of the influence of passion or feeling, to be affected in a certain way, be (or come to be) in a certain state of mind’とある.Intermediate (Middle Liddell) s.v. IIIも同じ内容.
- ὑπὸ ... κατηγόρων:「ὑπό+属格」は行為者を表す(Smyth §1698.b).
- δʼ οὖν: GP 461(ITC-LMSで配布)を見よ.この組み合わせにおいては,δ(έ)は常に対照を表す(p. 460,第3段落).またοὖνは本質的に反対の概念を示すのに用いられる.δʼ οὖνの用法の一つとして,εἰ μένやὅτι μένによって導かれる間接疑問文に続いて,それに対する答えを話者が与えることができない場合,あるいはわざわざ与えることをしない場合が挙げられる(p. 461,第2段落).
参考文献
配布物
- GP 460–461.
連絡
春休みに,ギリシア語(・ラテン語)の初級文法を終えたばかりの人たちを対象に,原典を読む訓練を行うための読書会を開催する予定です.https://museion.sakura.ne.jp/wiki/をご覧ください.
第12回(2022/01/07)
授業内容
- 小テスト(12).
- 練習33.1–4.
- 練習34.1, 4.
- 練習35.1–3.
- 第36課.
課題
次の課題をやってくること.
- 小テスト(13).
- 練習36.1–2.
- プラトーン『ソークラテースの弁明』17a–b5(ὅ τι μὲν ὑμεῖς, ... τἀληθῆ λέγοντα·).
配布物
- 「辞書の使い方」.
- 「原典講読」.
- Steadman前書き.
- Steadman語彙集.
- Steadman本文.
- Loeb英訳.
- 岩波全集訳.
第11回(2021/12/24)
授業内容
- 小テスト(11).
- 練習31.2, 3.
- 練習32.1–5.
- 第33–35課.
課題
次の課題をやってくること.
- 小テスト(12).
- 練習33.1–4.
- 練習34.1, 4.
- 練習35.1–3.
第10回(2021/12/17)
授業内容
- 小テスト(10).
- 練習30.2, 3, 5.
- 練習31.1, 4.
- 第31課§§162–167.
- 第32課.
課題
次の課題をやってくること.
- 小テスト(11).
- 練習31.2, 3.
- 練習32.1–5.
第9回(2021/12/10)
授業内容
- 小テスト(9).
- 練習28.1–4.
- 練習29.1, 3, 5.
- 第30課.
- 第31課§§159–161.
課題
次の課題をやってくること.
- 小テスト(10).
- 練習30.2, 3, 5.
- 練習31.1, 4.
第8回(2021/12/03)
授業内容
- 小テスト(8).
- 練習25.3, 5.
- 練習26.1, 2, 4, 6.
- 練習27.2, 3, 5, 6.
- 第28課.
- 第29課.
練習27.2の二重対格(内的目的語τιと外的目的語σε)については「格の用法」(2021年4月23日配布)の3.6.bにあります.
課題
次の課題をやってくること.
- 小テスト(9).
- 練習28.1–4.
- 練習29.1, 3, 5.
第7回(2021/11/19)
授業内容
- 小テスト(7).
- 練習25.1, 2, 4, 6, 7.
- 第25課§139.
- 第26課.
- 第27課.
課題
次の課題をやってくること.
- 小テスト(8).
- 練習25.3, 5.
- 練習26.1, 2, 4, 6.
- 練習27.2, 3, 5, 6.
第6回(2021/11/12)
授業内容
- 小テスト(6).
- 練習24.1–7.
- 第25課§§130–138.
配布物
- 「条件文のまとめ」.
課題
次の課題をやってくること.
- 小テスト(7).
- 練習25.1, 2, 4, 6, 7.
第5回(2021/11/05)
授業内容
- 小テスト(5).
- 練習22.3, 5, 6, 7.
- 練習23.1–5.
- 第24課.
課題
次の課題をやってくること.
- 小テスト(6).
- 練習24.1–7.
第4回(2021/10/29)
授業内容
- 小テスト(4).
- 練習21.1, 2, 3, 5, 8.
- 練習22.1, 2, 4.
- 第22課§§115–117.
- 第23課.
課題
次の課題をやってくること.
- 小テスト(5).
- 練習22.3, 5, 6, 7.
- 練習23.1–5.
第3回(2021/10/22)
授業内容
- 小テスト(3).
- 練習20.1, 2, 4, 5, 6, 10.
- 第21課.
- 第22課§§111–114.
課題
次の課題をやってくること.
- 小テスト(4): ITC-LMS上の「テスト」で実施する.
- 練習21.1, 2, 3, 5, 8.
- 練習22.1, 2, 4.
第2回(2021/10/15)
授業内容
- 小テスト(2).
- 「語彙の強化」.
- 「第2アオリスト形を覚える」.
- 練習19.1–8.
- 第20課.
配布物
- 「語彙の強化」.
- 「第2アオリスト形を覚える」.
課題
次の課題をやってくること.
- 小テスト(3): (1), (2)だけやればよい.(3)は授業で扱えなかったのでやらなくてよい.
- 練習20.1, 2, 4, 5, 6, 10.
第1回(2021/10/08)
授業内容
- 「オンライン授業について」.
- 「Aセメスター予定」.
- 練習17.1–7.
- 練習18.1–7.
- 第19課.
配布物
- 「オンライン授業について」.
- 「Aセメスター予定」.
課題
次の課題をやってくること.なお,提出課題は(まだ)ありません.
- 小テスト(2).
- 練習19.1–8.
シラバス内容
講義題目
古典ギリシア語初級(後半)
授業の目標・概要
1, 目標
※当授業はSセメスターの「古典ギリシア語初級(前半)」(科目名:「古典語初級(ギリシア語)I/共通ギリシア語(11)」)の続きである.これを履修していない場合,その内容を自習しておく必要がある.当授業の第1回で扱う内容は以下の「授業計画」と「関連ホームページ」に記載されているので確認しておくこと.
初級文法を1年かけて学び,古典ギリシア語で書かれた簡単な文章を読めるようにし,難しい文章であっても文法書と辞書を使えば何とか読めるようにする.
古典ギリシア語を学ぶにはかなりの負担があると一般に思われており,そのために学修をためらったり,途中であきらめてしまう場合も少なくない.そのようにならないよう,自宅学習の時間が4時間程度に収まるようにできるだけ調整する.
2, 古典ギリシア語
ギリシア語の重要性については改めて説明するまでもないだろう.古代ギリシア文明は西洋文化の原点であり,西洋文化の根底にあるものを知ろうとすれば,必然的に古代ギリシア文明に触れることになる.古代ギリシア語を学ぶのは容易とは言えないが,これを学ぶと,古代ギリシア語が擁する哲学・歴史学・文学・科学などあらゆる分野の膨大な文献に直接触れることができ,それらがどのように西洋文明やその他の文明に影響を与えているのかを知ることができるようになる.
ギリシア語の文献は紀元前15世紀頃の線文字B粘土板にさかのぼる.使用地域はやがて東地中海地域から地中海地域全体へ,一時はさらにインド方面にまで広がった.古典ギリシア語とは,紀元前5–4世紀にアテーナイを中心とする地域で使われていたギリシア語のことを言う.これを学べば,ホメーロス(紀元前8世紀頃)から中世ギリシア語に至るまでの各時代・地域のギリシア語や新約聖書のギリシア語も容易に習得できる.文献の豊富さゆえにラテン語,サンスクリット語などとともに印欧比較言語学に豊富な資料を提供するという点でもギリシア語は重要である.
授業のキーワード
ギリシア,ギリシャ,ラテン語,サンスクリット語,印欧語,古代
授業計画
AセメスターはSセメスターの続きである.第1回の授業内容は次のとおり.練習問題の答え合わせから始めるので準備しておくこと.
- 練習17.1–7
- 練習18.1–7
- 第19課(以降)
第1回は小テストは行わない.第2回以降の小テストに関しては第1回の際に指示する.
オンライン授業の場合は数回にわたって提出課題が課されるので注意すること(「授業の方法」「成績評価方法」参照).
第2回以降は教科書最終課(第36課)まで進め,最終課終了後は原典講読を行う.語彙集付きの教材を用いるので,辞書を購入する必要はない.
授業の方法
A. 概要
- 当授業はオンライン授業(90分授業)である.105分授業との差分の15分は小テストに充てる.
- 一般的なオンライン授業で用いられるもの(Zoom, ITC-LMS, ECCSクラウドメール等)が使えれば問題ない.
- おおむね対面授業と同様に実施する.
- 提出課題を書いたノートをスキャンまたは撮影してITC-LMSにアップロードする作業が学期中何回か必要.
B. 授業の流れ
- [ITC-LMS] 教材があれば授業前にダウンロード(授業日前日の朝までに用意する予定)
- 小テスト代替:90分授業の開始時刻までに各自実施
- [Zoom] 練習問題を受講者が順番に発表(音声のみ)
- [Zoom] 教科書の内容を教員が説明・質疑応答
教科書を用いて説明するので,画面を閲覧する機会はそれほど多くない.板書が必要な場面では教員のコンピュータの画面を映して説明する.
C. 小テスト(代替)
小テストの内容は次の2種類である.1回の小テストでどちらか1つ,あるいは両方を行う.単語テストで用いる単語帳は授業中に配布する.
- 名詞・動詞などの変化表を覚える.
- 単語テスト.
- 複文の構文を覚える(第13回).
aの一部とb, cはITC-LMSの「テスト」機能を用いて実施する.ギリシア文字はローマ字転写(長音記号省略可)で入力してよい.
aはおおむねSセメスターと同様に行う.次の授業日までに指定された変化表を覚えてもらい,授業日には105分授業と90分授業の差分の15分間(移動がある学生は適当な時に,移動がない学生は16:50–17:05の間に)で各自それを書き出してもらう.ただしオンライン授業時の小テストは対面授業時と比べて厳密に実施できないので,以上のことに加えて,その日の授業中の適当な時に履修者に指名して答えてもらうということを行うことがある.
成績評価方法
1, 概要
練習問題・原典講読の発表状況(50点),提出課題(20点)と小テスト(30点)で行う.
[後期課程のみ]※小テストの割合が若干低いため,年度当初の割合から若干変更した.
おおむね次のようになるように問題の作成・採点等を行う予定である.
- 50点
- 形態をある程度理解しており,練習問題を解いてきている.
- 65点
- 形態をだいたい理解しており,練習問題を解く際にそれを用いている.
- 80点
- 形態をほぼ理解しており,構文や語法に注意して練習問題を解いてきている.
- 90点
- 形態や構文,語法をほぼ正しく理解しており,自分の言葉で正しく説明できる.
教科書の練習問題を解く際は,単語の形態(名詞なら性・数・格,動詞なら法・時称・相・数・人称など)をきちんと調べておき,また構文や語法については教科書のどの節に説明があるかを調べておくと上達が早い.すなわちそのようにすれば,教科書の練習問題や学期末試験の問題をよく理解して解くことができ,ギリシア語の原典も正確に理解することができるようになる.単に上手(に見えるよう)な和訳ができただけでは評価を得ることができないことに注意せよ.逆に和訳がぎこちなかったとしても,形態や構文等について教科書の内容をきちんと理解した上でのものであれば評価は高くなる.
教科書
水谷智洋『古典ギリシア語初歩』(岩波書店,1990).3,500円+税.ISBN: 978-4-00-000829-7
参考書
参考書は使用しない.
履修上の注意
この授業を履修するための予備知識は特に必要ない.文系/理系の別や興味のある時代・地域・分野を問わず履修生を歓迎する.
なお,前半を受けただけでは文章を読めるようにはならないので,読めるようにするにはAセメスターに開講される「古典ギリシア語初級(後半)」(科目名:「古典語初級(ギリシア語)II」)も履修すること.なお「古典ギリシア語初級(後半)」は教養学部後期課程の科目「共通ギリシア語(12)」との合同授業である.進学が内定した2年生(など)は「共通ギリシア語(12)」として履修することもできる.
Aセメスターには「古典ギリシア語初級(前半)」に当たる授業は開講されていないので,計画的に履修すること.
その他
毎回課題があって大変なように見えるが,これは学期末にまとめて勉強する代わりに毎日少しずつ勉強した方がよく身につき,効率的であるからである.出された課題に取り組むことによってその習慣を身につけてほしい.
教科書の記述は難しめであるが,適宜解説するので心配する必要はない.練習問題も多く感じるかもしれないが,すべてを課題として出すわけではなく,標準的な自宅学習の時間内に収まるように調整する.
この授業以上のことを学びたければ,中級やその他原典講読の授業を受講するとよいが,まずは古典ギリシア語初級をしっかり学んでおくことが重要である.また,ギリシア語の文章が何とか読めるようになっても,その文学的・歴史的・哲学的・文化的・あるいはその他の背景を知っておかなければその意味がわからないということがよくある.そのようなものを扱う授業も,もし受講できるようであれば受講しておくとよい.
「関連ホームページ」には過年度の授業実施状況が簡単に記されているので,雰囲気を事前に調べるためには一度見てみるとよい.
関連ホームページ
http://lecture.ecc.u-tokyo.ac.jp/~cmatuura/
研究室電話番号
メールまたは授業日の「4限」の時間帯に相談を受け付ける(事前に連絡が必要).
オンライン授業URL
UTAS / UTAS Lite / ITC-LMS(コースの概要説明)のいずれかで確認すること.UTASやITC-LMSの負荷が高いときはUTAS Liteを利用するとよい.
オンライン授業内容
UTAS / UTAS Lite / ITC-LMS(コースの概要説明)のいずれかで確認すること.UTASやITC-LMSの負荷が高いときはUTAS Liteを利用するとよい.
リンク
Last modified: 2022/10/23
cmatuura<AT>mail.ecc.u-tokyo.ac.jp
© 2021–2022 MATSUURA Takashi