以下の記録の正確性は保証しない.
教養学部の通常の授業日程に従う.教養学部の授業日程に変更があった場合はそれに合わせる.以下と教養学部の授業日程の間に齟齬があった場合は教養学部の授業日程の方に従う.
感想(任意)を書いてくださった方,ありがとうございました.読みたい作品・作家にはホメーロス『イーリアス』,ピュータゴラース(彼自身は何も書き残していませんが),ヘーロドトス『歴史』,ソポクレース『オイディプース王』,プラトーン,アリストテレース(何でも,あるいは『自然学』『天体論』『生成消滅論』『気象論』など),マールクス・アウレーリウス『自省録』,何らかの詩がありました.なお,時間が足りない場合を除いては散文と韻文の両方をやる予定です.
授業の負担については,格変化と格の用法が覚えられないので練習問題を解くのが大変である,練習問題が負担である,などの感想がありました.また,練習問題をもう少しやりたい,あるいは練習問題の後半(おおむね6–10番)も解きたかったとの感想がありました.以下の感想とも関わりますが,授業で必須とされた課題以上のことをやりたいという場合にどのようにするかは検討の必要があると思いました.また,小テストについてはおおむねちょうどよいようでしたが,第12回のみは大変だったとの感想がありました.
授業の感想としては,まず,例年配布しているような教科書の補足のプリントがあれば,今年それを扱わないとしても配布はしてほしいという要望がありました.これに関しては,年度ごとに扱う順番や軽重を変化させていますが,少なくとも配布と簡単な解説だけは必ずしていますので,心配する必要はありません.次に,練習問題の答え合わせが間延びしてしまっていたのでテキパキとしてほしいとの要望がありました.これは練習問題の分量の問題と関連します.以前は練習問題はすべて扱っていましたが,そうすると解説は必要な箇所のみになってしまいますし,質問の余地もほとんどなくなってしまいます.実際にそのような感想が多く見られましたので,そのような感想が出ないようにそこから少しずつ減らしていって,今回のような分量になっています.もし今回の分量では物足りない,解説が長すぎるという声がある程度あるようであれば,練習問題の分量を少し増やそうかと思います.本当は練習問題の答え合わせの時間を圧縮して余った時間を使い,理解度に応じた複数のメニューを用意して追加でやりたいところですが,今のところあまりよい方法が見つかっていないので,とりあえずはこのままやっていこうかと思います.もっともAセメスターは履修者もだいぶ少なくなり,進度や分量もかなり多くなりますので,心配する必要はないかもしれません.
以下はAセメスター第1回(2019/09/27)の課題である.Aセメスター第1回のはじめの時間を使って答え合わせをする.
古典ギリシア語初級(前半)
初級文法を1年かけて学び,古典ギリシア語で書かれた簡単な文章を読めるようにし,難しい文章であっても文法書と辞書を使えば何とか読めるようにする.
一般に古典ギリシア語を学ぶにはかなりの負担を覚悟しなければならないと思われている.したがって,そのために学修をためらったり,途中であきらめてしまう場合も少なくないと思われる.できるだけそのようにならないよう,履修者の理解度や自宅学習の時間を適宜確認しつつ,学修内容・進度と自宅学習の時間を調整するので,ためらわずに履修してほしい.
ギリシア語の重要性については改めて説明するまでもないだろう.古代ギリシア文明は西洋文化の原点であり,西洋文化の根底にあるものを知ろうとすれば,必然的に古代ギリシア文明に触れることになる.古代ギリシア語を学ぶのは容易とは言えないが,これを学ぶと,古代ギリシア語が擁する哲学・歴史学・文学・科学などあらゆる分野の膨大な文献に直接触れることができ,それらがどのように西洋文明やその他の文明に影響を与えているのかを知ることができるようになる.
ギリシア語の文献は紀元前15世紀頃の線文字B粘土板にさかのぼる.使用地域はやがて東地中海地域から地中海地域全体へ,一時はさらにインド方面にまで広がった.古典ギリシア語とは,紀元前5–4世紀にアテーナイを中心とする地域で使われていたギリシア語のことを言う.これを学べば,ホメーロス(紀元前8世紀頃)から中世ギリシア語に至るまでの各時代・地域のギリシア語や新約聖書のギリシア語も容易に習得できる.文献の豊富さゆえにラテン語,サンスクリット語などとともに印欧比較言語学に豊富な資料を提供するという点でもギリシア語は重要である.
ギリシア,ギリシャ,ラテン語,サンスクリット語,印欧語,古代
教科書は全36課から成っているので,Sセメスターはその半分くらいまで進めることを目標とする.初回はギリシア語に関する簡単な解説を行ったあと,第1課(文字と発音)と第2課(アクセント)を扱う.
授業はすべて日本語で行う.予習は必須ではない.授業では教科書の内容を解説する.毎回課題が課されるので,それにもとづき復習を行ってもらう.課題の1つは暗記である.簡単な内容を覚え,次回の授業の最初に小テストを行って覚えられたかどうかを確認する.簡単な内容とは,教科書に挙げられている名詞・動詞などの変化表のことである.暗記に要する時間は1時間以内と想定している.また教科書各課末に練習問題が付されているので,授業で扱った課の練習問題を解いてきてもらう.練習問題に要する時間は3時間以内と想定している.したがって毎回の自宅学習の時間は4時間程度を想定している.解いてきた練習問題は,次の授業の際に出席者が順番に発表する.授業の段取りはしたがって次のとおりである.
学期末試験(60点)と小テスト(20点),練習問題の発表状況(20点)で行う.
練習問題を解く際は,単語の形態(名詞なら性・数・格,動詞なら法・時称・相・数・人称など)をきちんと調べておき,また構文や語法については教科書のどの節に説明があるかを調べておくと上達が早い.すなわちそのようにすれば,教科書の練習問題や学期末試験の問題をよく理解して解くことができ,ギリシア語の原典も正確に理解することができるようになる.単に上手(に見えるよう)な和訳ができただけでは評価を得ることができないことに注意せよ.逆に和訳がぎこちなかったとしても,形態や構文等について教科書の内容をきちんと理解した上でのものであれば評価は高くなる.
水谷智洋『古典ギリシア語初歩』(岩波書店,1990).3,500円+税.ISBN: 978-4-00-000829-7
参考書は使用しない.
この授業を履修するための予備知識は特に必要ない.文系/理系の別や興味のある時代・地域・分野を問わず履修生を歓迎する.
なお,前半を受けただけでは文章を読めるようにはならないので,読めるようにするにはAセメスターに開講される「古典ギリシア語初級(後半)」(科目名:「古典語初級(ギリシア語)II」)も履修すること.なお「古典ギリシア語初級(後半)」は教養学部後期課程の科目「共通ギリシア語(12)」との合同授業である.進学が内定した2年生(など)は「共通ギリシア語(12)」として履修することができる.
Aセメスターには「古典ギリシア語初級(前半)」に当たる授業は開講されていないので,計画的に履修すること.
毎回課題があって大変なように見えるが,これは学期末にまとめて勉強する代わりに毎日少しずつ勉強した方がよく身につき,効率的であるからである.出された課題に取り組むことによってその習慣を身につけてほしい.
教科書の記述は難しめであるが,適宜解説するので心配する必要はない.練習問題も多く感じるかもしれないが,すべてを課題として出すわけではなく,標準的な自宅学習の時間内に収まるように調整する.
この授業以上のことを学びたければ,中級やその他原典講読の授業を受講するとよいが,まずは古典ギリシア語初級をしっかり学んでおくことが重要である.また,ギリシア語の文章が何とか読めるようになっても,その文学的・歴史的・哲学的・文化的・あるいはその他の背景を知っておかなければその意味がわからないということがよくある.そのようなものを扱う授業も,もし受講できるようであれば受講しておくとよい.
「関連ホームページ」には過年度の授業実施状況が簡単に記されているので,雰囲気を事前に調べるためには一度見てみるとよい.
http://lecture.ecc.u-tokyo.ac.jp/~cmatuura/
授業日の「4限」の前に相談を受け付ける.事前にメールで連絡してほしい.
Last modified: 2019/10/06
cmatuura<AT>mail.ecc.u-tokyo.ac.jp© 2019 MATSUURA Takashi