[2017S教養学部前期/後期課程]古典ギリシア語初級(前半)
[松浦高志の授業用ページ]
目次
授業概要
以下の記録の正確性は保証しない.
- 開講
- 平成29年度(2017年度)Sセメスター
- 科目名(前期課程)
- 古典語初級(ギリシア語)I
- 科目名(後期課程)
- 共通ギリシア語(5)
- 科目名(後期課程:英語)
- Greek (5)
- 開講日時
- 火曜5時限(16:50–18:35)
- 時間割コード(前期課程)
- 31222
- 時間割コード(後期課程)
- 08A9205
- 教室
- 1号館106教室
- 教科書
- 水谷智洋『古典ギリシア語初歩』(岩波書店,1990).
- 履修人数(前期課程)
- 9名
- 履修人数(後期課程)
- 2名
- 学期末試験受験人数(前期課程)
- 7名
- 学期末試験受験人数(後期課程)
- 2名
授業日程
教養学部の授業日程に従う.教養学部の授業日程に変更があった場合はそれに合わせる.以下と教養学部の授業日程の間に齟齬があった場合は教養学部の授業日程の方に従う.
- 2017/04/11
- 2017/04/18
- 2017/04/25
- 2017/05/02
- 2017/05/09
- 2017/05/16
- 2017/05/23
- 2017/06/06:5月30日は通常授業は行われない日.
- 2017/06/13
- 2017/06/20
- 2017/06/27
- 2017/07/04
- 2017/07/11:学期末試験.
学期末試験講評
- おおむねよくできていました.
- よくできていました.
- よくできていました.
- aは教科書にしたがって‘gongylos’とすべきところですが,‘gongulos’などの解答がありました.
- bはπύσω (ῡ)ですが,正答率はあまり高くありませんでした.
- bはἐρρίγουν (ῑ)ですが,正答は半分以下でした.
- aはἔφθειραですが,正答率はあまり高くありませんでした.
- ἀθανάτος (m./f. sg.)ではなくἀθάνατον (n. sg.)ですので,「不死なる『もの』」と訳してほしいところでした.また語末に ; があるので疑問文です.
- 「彼は自分がペルシア人であると言った」.文意を明らかにするために「自分が」の部分は少なくとも「(自分が)」のように括弧書きしてほしいところですが,なくても特に減点はしませんでした.
- 「私は最初に(<最初の者として)彼らを見た」.主語にかかる形容詞を副詞的に訳すこと,εἶδονは「私は見た」「彼らは見た」の両方があり得るが,πρῶτοςがあるので「私は見た」の方に定まること,αὐτούςは「男性」なので「それらを」ではなく「彼らを」と訳すところがポイントでした.
- 「彼はペルシア人たちを力なき者たちとする」.形容詞が定冠詞と名詞の間に入っていない,すなわち述語的用法を確認する問題でしたが,おおむねよくできていました.主語を「それは」としている解答がありましたが,特に減点なしとしました.
- 「彼は,自分でなくあの人が将軍職を務めていると言った」.οὐκ ... ἀλλά ...「……ではなく〜」,間接話法における「対格+不定詞」の用法の理解を試す問題でした.ἔφηの主語とαὐτόςが表す人物が同じであることに注意する必要があります.ἐκεῖνονを「あれ」と訳している解答がありました.人であることを明示してもらいたいところですが,減点はなしとしました.
- 「貧乏に耐えることは,あらゆる人のもの(=すること,務め)ではなく,賢い人のもの(=すること,務め)である」.不定詞が主語になり,ἐστί(ν)を補い,属格が述語になる,ということの練習でしたが,あまり正答率は高くありませんでした.
- ἔθετεがアオリスト2人称単数なのがわかれば難しくないのですが……
- 時間を表す対格(「5日間ずっと」)の練習でした.
- 「ギリシア人は部族である」は明らかに誤りで,観点(限定)を表す対格だと気づけるかどうかがポイントでした.「彼らはギリシア人である,血筋の点で」.
- σὺν τούτοις οὓς ...のように,先行詞を補い,同化している関係代名詞を元に戻す練習でした.おおむねこれは理解できていたようなのですが,もしかしたら,全体の意味を容易に理解できたからかもしれません.οἷςは複数なのですが,単数で訳している解答が非常に多かったです.なぜでしょうか.
- εἰς τὸν πόλεμον τὸν πρὸς Λακεδαιμονίους καὶ τοὺς συμμάχουςは「ラケダイモーン人たちとその(τούς)同盟者たちに対する戦争へと」が難しかったようです.ὁ ἵππος ὁ ἀγαθόςなどの表現を思い出して欲しかったところです.
第13回(2017/07/11)
授業内容
- 学期末試験(100分間).
配布物
- 学期末試験問題.
その他
懇親会は中止になりました.
第12回(2017/07/04)
授業内容
- 小テスト(12).
- 練習17.1–8(9, 10は時間があれば後日課題にする).
- 練習18.1–8(9, 10は時間があれば後日課題にする).
- 教科書第19課.
- 授業評価アンケート.
課題
以下の課題はAセメスターの第1回(2017/09/26)用の課題である.Aセメスターの第1回は小テストは実施しない.
- 練習19.1–8(9, 10はやらなくてよい).
第11回(2017/06/27)
授業内容
- 小テスト(11).
- 練習15.1–8(9, 10は時間があれば後日課題にする).
- 練習16.1–8(9, 10は時間があれば後日課題にする).
- 教科書第17–18課.
課題
- 小テスト(12).
- 練習17.1–8(9, 10はやらなくてよい).
- 練習18.1–8(9, 10はやらなくてよい).
第10回(2017/06/20)
授業内容
- 小テスト(10).
- 練習13.1–8(9, 10は時間があれば後日課題にする).
- 練習14.1–8(9, 10は時間があれば後日課題にする).
- 教科書第15–16課.
課題
- 小テスト(11).
- 練習15.1–8(9, 10はやらなくてよい).
- 練習16.1–8(9, 10はやらなくてよい).
第9回(2017/06/13)
授業内容
- 小テスト(9).
- 練習12.1–9(10は時間があれば後日課題にする).
- 教科書第13–14課.
課題
- 小テスト(10).
- 練習13.1–8(9, 10はやらなくてよい).
- 練習14.1–8(9, 10はやらなくてよい).
配布物
- 「小テスト(12)出題範囲」.
- 「学期末試験について」.
- 「学期末試験問題(2016年度,見本)」(ITC-LMSには掲載しないので授業中に入手すること).
第8回(2017/06/06)
授業内容
- 小テスト(8).
- 練習10.1–8(9, 10は時間があれば後日課題にする).
- 練習11.1–8(9, 10は時間があれば後日課題にする).
- 教科書第12課.
課題
- 小テスト(9).
- 練習12.1–9(10はやらなくてよい).
配布物
- 「練習9.8–9」.
第7回(2017/05/23)
授業内容
- 小テスト(7).
- 練習9.
- 教科書第10–11課.
課題
- 小テスト(8).
- 練習10.1–8(9, 10はやらなくてよい).
- 練習11.1–8(9, 10はやらなくてよい).
連絡
来週のこの時限は金曜日授業のため,休講です.
第6回(2017/05/16)
授業内容
- 小テスト(6).
- 練習7–8.
- 教科書第9課.
課題
- 小テスト(7).
- 練習9.
第5回(2017/05/09)
授業内容
- 小テスト(5).
- 練習6.
- 教科書第7–8課.
課題
- 小テスト(6).
- 練習7–8.
第4回(2017/05/02)
授業内容
- 小テスト(4).
- 練習4–5.
- 教科書第6課.
課題
- 小テスト(5).
- 練習6.
第3回(2017/04/25)
授業内容
- 小テスト(3).
- 練習2–3.
- 教科書第4–5課.
配布物
- 「格の用法」.
課題
- 小テスト(4).
- 練習4–5.
第2回(2017/04/18)
授業内容
- 小テスト(2).
- 「各種ギリシア文字書体」.
- 「音韻論」第1節,第2節,第3節(C-1からC-7,C-17からC-19),第4節(V-1).
- 教科書第2課(§13).
- 教科書第3課.
配布物
- 「音韻論」.
- 「練習問題の予習方法の例」.
- 「エウリーピデース『メーデイア』第72b–73a行予習例」.
- 「各種ギリシア文字書体」.
課題
- 小テスト(3).
- 練習2を配布した紙にローマ字転写して提出すること.
- 練習3.
第1回(2017/04/11)
授業内容
- 「古典ギリシア語」第1–7, 9節.
- 教科書第1課.
- 「アクセント」(1–9).
- 教科書第2課(§12まで).
配布物
- 「古典ギリシア語」.
- 「アクセント」.
課題
- 小テスト(2).
- 練習1を適当な紙に書いて提出すること.Aはローマ字転写すること.
シラバス内容
講義題目
古典ギリシア語初級(前半)
授業の目標・概要
初級文法を1年かけて学び,古典ギリシア語で書かれた簡単な文章を読めるようにする.ギリシア語の文献は紀元前15世紀の線文字B粘土板にさかのぼる.使用地域はやがて東地中海地域全体,一時はさらにインド方面にまで広がった.哲学・歴史学・文学・科学などあらゆる分野に膨大な文献を有し,現在でも主にヨーロッパ文明を通じて大きな影響を与え続けている.
古典ギリシア語とは,紀元前5–4世紀にアテーナイを中心とする地域で使われていたギリシア語のことを言う.これを学べばほかの時代・地域のギリシア語や新約聖書のギリシア語も容易に学び得る.文献の豊富さゆえにラテン語,サンスクリット語などとともに印欧比較言語学に豊富な資料を提供するという点でもギリシア語は重要である.
授業のキーワード
ギリシア語、ギリシャ語、ラテン語、サンスクリット語、印欧語、古代
授業計画
教科書は全36課から成っているので,Sセメスターはその半分くらいまで進めることを目標とする.初回はギリシア語に関する簡単な解説を行ったあと,第1課(文字と発音)と第2課(アクセント)を扱う.なお,この教科書は毎日少しずつ学習し,練習問題を解いていくためには適しているが,体系的に学ぶためには不足している点がある.適宜,補足資料を配布して説明する.
授業の方法
予習は必須ではない.授業では教科書の内容を解説する.毎回課題が課されるので,それにもとづき1週間かけて復習を行ってもらう.課題の1つは暗記である.簡単な内容を覚え,次回の授業の最初に小テストを行って覚えられたかどうかを確認する.簡単な内容とは,教科書に挙げられている名詞・動詞などの変化表である.これに加えて,別に配布する単語帳の暗記を行う可能性もある.もう1つの課題は練習問題である.教科書各課末に練習問題が付されているので,授業で扱った課の練習問題を解いてきて,次回の授業の際に出席者が順番に発表する.授業の段取りはしたがって次のとおりである.
- 小テスト
- 練習問題
- 教科書の解説
- 課題の説明(必要に応じて)
成績評価方法
学期末試験と小テスト,練習問題の発表状況.
教科書
水谷智洋『古典ギリシア語初歩』(岩波書店,1990).3,500円+税.ISBN: 978-4-00-000829-7
参考書
参考書は使用しない.
履修上の注意
前半を受けただけでは文章を読めるようにはならないので,読めるようにするには古典ギリシア語初級(後半)も履修すること.また,Aセメスターには前半に当たる授業は開講されていないので,計画的に履修すること.
その他
予備知識は必要ないので,幅広い分野からの受講を歓迎する.毎回課題があって大変なように見えるが,学期末にまとめて勉強する代わりに毎日少しずつ勉強した方がよく身につき,効率的であるからである.出された課題に取り組むことによってその習慣を身につけてほしい.教科書の記述は難しめで,練習問題も難しいと感じられるかもしれないが,授業で適宜解説するのであきらめずに受講してほしい.
「関連ホームページ」には過年度の授業実施状況が簡単に記されているので,雰囲気を事前に調べるためには一度見てみるとよい.
関連ホームページ
http://lecture.ecc.u-tokyo.ac.jp/~cmatuura/
Last modified: 2018/10/24
cmatuura_atmark_mail.ecc.u-tokyo.ac.jp
© 2017–2018 MATSUURA Takashi